梅雨晴の夜

十日夜(月齢10.064)

  月齢10なので十日夜(とおかんや)としたけれど、朔(新月)を一と数える旧暦では十一夜とするのが正しいのだろう。何しろ久々に晴れた夜、許されたし。

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 ティコやコペルニクスが程良い陰影で見えるので、満月より今宵前後の欠け具合の方が見どころが多く楽しめる。まぁ望遠鏡・双眼鏡が前提の話ではあるけれど。

 

木星

  6月11日に太陽→地球→木星とほぼ直列する「衝」となった木星、ようやく目にすることが出来た。今月いっぱいは見頃が続くそうだが、梅雨とあっては貴重な晴天夜だった。

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 速報というわけではないけれど、とりあえずは簡易的なレタッチでお茶を濁しておこう。梅雨最中、どのみちしばらくは晴天夜が望めそうもないので、後日ゆっくりコンポジット処理してみようと考えている。

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- 撮影データ<上>:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

- 撮影データ<下>:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-9W(50x)

葉上に赤鬼見つけた

コクサグモ(幼体)*1

  葉上に張り巡らせたクモの巣は、雨滴ばかりを搦め捕る。
張り方の要領が悪いんじゃないかと思ったら、奥に潜んでいたのは赤い幼グモだった。

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 マクロレンズで切り取ったのは横幅6〜7cm、奥行3~4cmほどの世界。

絞り込み被写界深度を深くしたカットも撮ってみたが、いささか説明的になりすぎた。

小さな葉上の物語には浅いピントが醸す空気感こそが似つかわしい。

- 撮影データ:Canon EOS 6D Mark II / Canon EF100mm F2.8 MACRO USM

*1:コクサグモとしているが、幼体の資料が不十分でクサグモの可能性も捨てきれない

仕舞いかけの長袖に腕を通す

梅雨寒

  朝からしとしと小糠雨。少なくとも季節の始まりはいかにも梅雨らしい。

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 窓からは見えないが、生け垣の向こう側にひっそりとガクアジサイ
してみると、我が猫額庭の土壌はやや酸性に偏っているのだろうか。

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 蜘蛛の巣は小さな雨滴さえも絡め捕る。
マクロレンズに浮かぶ景色は水の惑星が織りなす小宇宙。

 ここ数年は雨にまつわる災害が多い。願わくは、穏やかな慈雨でありますように。

 

- 撮影データ:Canon EOS 6D Mark II / Canon EF100mm F2.8 MACRO USM

温帯モンスーンを実感する

関東地方も梅雨入り。昨夜は粘ったけど、木星見えなんだ・・・・

コシアカツバメ(腰赤燕)

 【スズメ目ツバメ科】

 先月撮影したツバメの飛翔画像の中にコシアカツバメが紛れ込んでいた。
逆光で潰れたシルエットに違和感を覚えレタッチ補正してみたらツバメじゃなかったというオチ。撮ってるときに気づけよ>ヒゲボウズ。

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 前回の記事でも触れたが、本種の巣はユニークなヒョウタン型であるらしい。古巣を補修しながら使い続け、ヒナが巣立っても渡りの時季まで塒にするとか。泥運びが頻繁なのもなるほど納得。

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 巣の形状も見ないことには気が済まない。遭遇地周辺の橋梁などを探してみよう。

- 撮影データ:Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM

タグ「飛翔」 - 撮鳥見鳥 fotolife

コシアカツバメ(腰赤燕)の過去記事を読む

 

多摩zooへ

 はたして何年ぶりだろうか、多摩動物公園を訪ねてきた。
いやはや、起伏に富んだ歩き甲斐のある動物園で、己の加齢が息切れに拍車をかける。

 散策メインながら少しは写真も撮ってみた。野鳥撮影が途切れがちになる梅雨から真夏、埋め草代わりに多摩動物公園の面々に登場してもらおう。

まずは野生なら垂涎の鳥から。

クロツラヘラサギ(黒面篦鷺)

 【ペリカン目トキ科】環境省レッドリスト絶滅危惧IB類 (EN)

 手元にある図鑑ではコウノトリ目となっているが、どうやらペリカン目が趨勢のようだ。分類はともかく絶滅が懸念される希少種である事実は変わらない。残念ながら野生を見る機会には未だに恵まれていないのだが、多摩動物公園葛西臨海水族園ではお目にかかることが出来る。

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  全体像はネット上でご覧いただくとして、頭部のアップを撮ってみた。冠羽がヘビメタ系だが、顔立ちは意外に可愛らしい。こんなカットが撮れるのも動物園の楽しみじゃないかと思うのだが....

- 撮影データ:Canon EOS 7D / Canon EF70-300mm F4-5.6 IS USM

千鳥足はふらつかない

コチドリ(小千鳥)

 【チドリ目チドリ科】

 バードウォッチングを始めた頃、干潟や河原で出逢うコチドリの姿に魅了された。特に目を惹く色の羽衣ではないのだが、橙黄色のアイリングがキュートなのだ。

「ピオ」と聞こえる鳴き声がまた可愛いし。

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 画像にしてみるとそこまで小さくは見えないのだが、その実コチドリの体長は16cm前後。ちなみにスズメの体長は14.5cmなので、コチドリの小柄さは推して知るべし。

 ところが、コチドリの翼長(ウイングスパン)は46cmとスズメの22.5cmを圧倒している。長距離を旅する渡り鳥たる証なのだろう。

 

 コチドリのこと、過去に書いた記事を読むとかなりの頻度でサイズに触れている。
なんのことはない、意外なサイズに驚き続けているのはヒゲボウズ本人だった。学習しない奴だなぁ>自分。(5/31追記)

- 撮影データ:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

コチドリ(小千鳥)の過去記事を読む

衝と合

 今夏は6/11に木星が衝、7/10は土星が衝となる。天候が許す限りは観望&撮影したいと考えているのだが、その前に「衝」とはなにか、ついでに「合」についてもおさらいしておこう。

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衝(ショウ)

  地球視点だと、太陽と真逆に惑星などの天体がある状況。

必然的に木星土星などの外惑星に限った現象だが、衝を迎えた天体は地球との距離も近づく為、明るく視直径も大きくなる。

合(ゴウ)

  地球視点で太陽方向に惑星などの天体が位置する状況。

 地球視点で太陽の手前に天体がある状況を「内合」、太陽の向こう側にある状況を「外合」という。地球視点の内合はその性質上水星や金星といった内惑星など地球軌道より内側の天体としか起こりえない。

 太陽が明るすぎる為、内合状態の天体は通常見ることが出来ないが、太陽と内惑星・地球がほぼ完全に軸線上に並んだとき、天体の太陽面通過が見られる。

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 外合は地球視点で太陽の後ろに天体が位置する為、視認は全く不可能となる。内合があり得ない外惑星の場合は単に「合」で「外合」を指すようだ。

望(ボウ)と朔(サク)

 惑星ではないが、地球視点では月でも「衝」と「合」が起きる。

 太陽・地球・月と直線上に並ぶと満月となるが、広い意味では「衝」に含まれる。月に限っては「衝」といわずに「望」という。その望の月、つまり満月が地球を挟んで太陽と完全に正対すると、月は地球の影に入り月蝕が起きる。

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 一方で太陽・月・地球の順で並ぶ月の「内合」は「朔」と呼ばれる新月となる。太陽と月・地球がほぼ完全に軸線上に並んだとき、地球上の一部地域に月の影が落ちる。影に入ったゾーンでは太陽が月に覆われる日蝕が発生する。

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 というわけで、「衝」が迫ってきた。木星土星それぞれ梅雨にかかりそうなのが不安要素だが観望好機はしばらく続く。厳密に「衝」である必要も無いだろう。カメラ側を一新したデジスコで、そして高倍率アイピースを使う為のなんちゃってDIYがどこまで通用するのか。不安と楽しみ間半ばといった心持ち。