なんちゃってシステムで木星撮影

木星ガリレオ衛星

  木星は6月11日の「衝」に向かって日々大きさを増している。
衝(ショウ)とは、太陽・地球・対象の外惑星がほぼ直線上になった状況。

 木星土星など外惑星は、衝のときに地球から最短となる。つまり天体の位置関係としては観望の好機到来と言うことになる。6月11日の木星「衝」は生憎の梅雨でもあるので、今のうちから機会を捉えて撮影を試みようと考えている。

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 PCモニターだと画像をクリックして拡大しないと判別しにくいのだが、左下の輝点からガニメデ・カリスト・イオ・木星エウロパ。かのガリレオガリレイが発見した木星の4大衛星は8倍程度の双眼鏡でも見分けることが出来る。

 木星が歪なのは大気の影響。もう少し高度の高くなる時間帯を待ちたいところだが、薄雲が張り出してきたので今夜はこれまで。

 撮影データは「自作なんちゃってアダプター」を介した以下の構成だが、カメラ側でデジタルテレコンバーター2Xに設定し、ISO800のマニュアル露出で撮影している。また露出を変えて撮った2枚を重ね、木星と衛星を一枚に納めてみた。

- 撮影データ:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-9W(50x)(50%トリミング)

デジタルカメラと被写界深度

イメージセンサーサイズと被写界深度

  たまたまだけど、手元にあるカメラは4台ともイメージセンサーのサイズが異なっている。面白そうなので、理屈では分かっている被写界深度の実写実験を行ってみた。結果が予想通りだったのは勿論だが、デジタルカメラ購入時の検討材料にしていただければ幸だ。

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 フルサイズセンサー*1での50mmレンズに画角とアスペクト比(3:2)を可能な限り合わせ、絞り値もF4.5で統一してみた。(というか任意のF値が選べないIXY 210Fに他機を合わせた)1/2.3型のカットはちょっとズームし過ぎたが、それなりに比較出来ると思われる。

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左上:1/2.3型(6.2mm×4.6mm)コンパクトデジタルカメラ Canon IXY 210F      

右上:1型(13.2mm×8.8mm)コンパクトデジタルカメラ Canon Powershoy G9 X mark II

左下:APS-C型(22.3mm×14.9mm)一眼レフ Canon EOS 7D + EF35mm F2

右下:フルサイズ型(35.9mm×24mm)一眼レフ Canon EOS 6D mark II + Sigma 50mm F2.8 Macro EX 

 一目瞭然、センサーサイズが大きくなるに連れてピントが浅く、つまり被写界深度が浅くなっている。前景や背景のボケを活かすには大型センサーがマストと言い切ってもよさそうだ。見方を変えれば説明目的の写真撮影用途には不向きで、ピントの深い小型センサーに軍配が上がる。工事・施工写真や植生環境の撮影など背景が識別できることが重要となる場合は尚更だろう。

 APS-Cサイズ*2機はフルサイズに対してさほど小型軽量とはならない*3が、望遠主体だと焦点距離が1.5~1.6倍増しとなるメリットは大きい。

 また所有していない為テストできていないが、フォーサーズフォーマット(17.3mm×13mm)だと1型とAPS-C型の中間的な被写界深度が予想される。カメラサイズがかなり小型化できるし焦点距離が2倍増しなので、野鳥撮影には好都合かも知れない。

 スマートフォンiPhoneのカメラは1/2.3型のセンサーが多いので、背景ぼかし効果のエフェクターを使わない限り左上のテスト結果に概ね準ずるはず。いや、広角前提だからさらに深い被写界深度となるはず。

  今回のテストでは被写界深度の相違しか分からないが、本来大型イメージセンサーの持つアドバンテージは情報量の多さにある。例えば同じ画素数でセンサーサイズが大型ならば、1画素あたりの素子が大きくとれるので情報容量も多くなる。結果として写真の階調や色数が豊かになるし高感度でのノイズも減るので、高画質に拘るほどフルサイズ機を欲するのは道理でもある訳だ。とは言えもっぱら超望遠レンズを使用する野鳥撮影に関しては、フルサイズ機が不利なのは以前のテストでも明白だった。 

tpong.hatenablog.com

 センサーサイズが大きいほど高画質ではあるが、一方で圧倒的な携行性や取り回しなど小型であるが故のメリットも計り知れない。スマートフォンとの棲み分けも考慮し、かつオートのモードにも一眼レフ並みの設定がある1型センサーのデジタルカメラには十分な存在意義を見いだせる。要は用途と目的次第と言うことだ。(価格の差にはあえて触れますまい)

*1:NikonFXフォーマット

*2:NikonDXフォーマット

*3:ミラー機構のある一眼レフとしてはさすがに例外ケースだと思うが、フルサイズEOS 6DmarkII(685g)はAPS-CEOS 7D(820g)より135g軽量

コアジサシが初夏を連れてきた

コアジサシ(小鯵刺)

 【チドリ目カモメ科】環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)

 当たり前の鳥が、当たり前の時季に、当たり前の場所に戻ってきた。

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 名前は鯵刺だが多摩川中流とあっては川魚がターゲット。
何年か前に撮った6月のカットではアユとおぼしき魚を咥えていた。

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 獲物となる小魚に支障が無ければ、あとは営巣地の問題か。
この時季、川の中州などコアジサシの好む繁殖環境はアユ釣りなどの人も入り込む立地。中州への立ち入りを禁ずるなど少しは行政の対策があってもよさそうなものだけど、都県境とあっては難しいのだろうか。

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 デジスコでの望遠限界で捉えたのは堰上で憩う姿。さすがに画質が甘くなる。

 長距離飛行やダイブのために、脚は補助的な機能でしかないのだろう。
飛んでいる姿は機能美そのものだが、地べたの彼らは歩行がたどたどしい。

- 撮影データ:<上><中>Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM
- 撮影データ:<下>Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

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ツバメ撮影は体力維持のバロメーター

ツバメ(燕)

 【スズメ目ツバメ科】

 ツバメがコシアカツバメと同じ川岸で巣材を集めていた。数ではコシアカツバメを圧倒しているが、争う様子は見られない。泥土を咥えて飛び去り、数分後には舞い戻ってくる。一度に運べる泥土など僅かなものだ。巣作りとは気の遠くなる作業なのだと思い知る。

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 低空の飛翔ではカメラのオートフォーカス機能(AF)が背景を追ってしまう。かといってマニュアルフォーカス(MF)で追える相手ではないことは自明だ。とりあえず通過空間を予測してピントを合わせておく「置きピン」を試みるのだが、最後はやはりMFでの微調がモノをいう。それでも没カットの大量生産は言うまでもない。

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 空が背景ならばAFで追いかける。とはいえ雲があるとそちらにピントを持っていかれてしまう。結局はピンぼけ量産なのだが、ファインダーの中心で捕捉し続ける練習を積むことでAFは維持され易くなり、歩留りは確実に向上する。

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 100枚ほどは撮ったろうか。使えそうなのはほんの数カット。シーズン毎にツバメを撮ると、我が身の不精と加齢を思い知る。

 重量2キロのカメラ&レンズの光学ファインダーは単純計算で13倍の望遠鏡と同じ視野。こいつを手持ちで振り回し、ファインダーの真ん中にツバメを捉え続けなければならない。体力はもとより反射神経の維持にも努めねば。

- 撮影データ<上>:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

- 撮影データ<中下>:Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM

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満月を過ぎても

満月+ (月齢14.540)

  月齢カレンダーでは今日5/19が満月となっているが、正確を期すなら月没後の午前6:11がその時刻。つまり今宵の月は満月から半日以上経過していることになる。

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雲塊が迫る中、薄雲越しを強引に撮影。なるほど、右端が欠け始めている。が、ティコの光条はますます目立っている。

- 撮影データ:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

霞月

 雲塊の触手に絡め取られるかの月を、急遽一眼レフに切り替えて撮ってみる。

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 サイエンスモードから情緒モードへの切り替えは道具立ての変更で些か手間取るものだ。あたふたしているうちにシャッターチャンスを逃し気味。
数瞬の後、まるで砂を撒かれるように圧雲に閉ざされてしまった。

- 撮影データ:Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM

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腰痛爺が腰赤燕に逢ったとさ

コシアカツバメ(腰赤燕)

 【スズメ目ツバメ科】

 レアな鳥種ではないけれど、ツバメほどポピュラーでもない本種。かなり地域的な偏りがあるのだそうだ。これまでも見かける機会はあったのだが、地面に降り立った姿は今回が初遭遇。

願わくば特徴ある壺型の泥巣を見たいのだが、なかなか機会に恵まれない。

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 シルエットは紛れもなくツバメなのだが、下面の縦縞やレンガ色の腰などツバメとの差異は歴然。この日の河原では巣材の泥集めに余念が無い。

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 ひとたび舞い上がるとツバメよりやや大きいように見える。図説を見るとなるほどわずかに大きいようだ。

- 撮影データ:<上> Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM
- 撮影データ:<下> Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

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喰えない奴だ

アオサギ(蒼鷺)

ペリカン目サギ科】

 ネイチャー系のテレビ番組を好んで見るのだが、アフリカやヨーロッパなどの映像にお馴染みの鳥が登場していることがある。アオサギはその筆頭格で、生息範囲の広さには地球規模。スコットランドの風景に写っていたときはかなり驚いたものだ。

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 川の縁をゆっくり下りながら採餌していたのだが、ここでの獲物は甲殻類や10cm足らずの小魚がメインのようだった。テレビではウナギを丸呑みするシーンを見たが、ヒゲボウズがかつて目撃した最大級の獲物は推定30cmオーバーのフナ。

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 2004年の撮影だから15年も前の話だが、鳥見に填まったばかりの頃で今でも鮮明に思いだせる。丸呑みするのに30分はかかったろうか。 

 読み返してみると、当たり前だが十五年前の自分がいる。アナオソロシヤ、滅多なことは書けないな。

- 撮影データ〈上〉:Canon EOS 7D / Canon EF400mm F5.6L USM

- 撮影データ〈下〉:Canon EOS 10D / Canon EF400mm F5.6L USM

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