デジタルカメラと被写界深度

イメージセンサーサイズと被写界深度

  たまたまだけど、手元にあるカメラは4台ともイメージセンサーのサイズが異なっている。面白そうなので、理屈では分かっている被写界深度の実写実験を行ってみた。結果が予想通りだったのは勿論だが、デジタルカメラ購入時の検討材料にしていただければ幸だ。

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 フルサイズセンサー*1での50mmレンズに画角とアスペクト比(3:2)を可能な限り合わせ、絞り値もF4.5で統一してみた。(というか任意のF値が選べないIXY 210Fに他機を合わせた)1/2.3型のカットはちょっとズームし過ぎたが、それなりに比較出来ると思われる。

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左上:1/2.3型(6.2mm×4.6mm)コンパクトデジタルカメラ Canon IXY 210F      

右上:1型(13.2mm×8.8mm)コンパクトデジタルカメラ Canon Powershoy G9 X mark II

左下:APS-C型(22.3mm×14.9mm)一眼レフ Canon EOS 7D + EF35mm F2

右下:フルサイズ型(35.9mm×24mm)一眼レフ Canon EOS 6D mark II + Sigma 50mm F2.8 Macro EX 

 一目瞭然、センサーサイズが大きくなるに連れてピントが浅く、つまり被写界深度が浅くなっている。前景や背景のボケを活かすには大型センサーがマストと言い切ってもよさそうだ。見方を変えれば説明目的の写真撮影用途には不向きで、ピントの深い小型センサーに軍配が上がる。工事・施工写真や植生環境の撮影など背景が識別できることが重要となる場合は尚更だろう。

 APS-Cサイズ*2機はフルサイズに対してさほど小型軽量とはならない*3が、望遠主体だと焦点距離が1.5~1.6倍増しとなるメリットは大きい。

 また所有していない為テストできていないが、フォーサーズフォーマット(17.3mm×13mm)だと1型とAPS-C型の中間的な被写界深度が予想される。カメラサイズがかなり小型化できるし焦点距離が2倍増しなので、野鳥撮影には好都合かも知れない。

 スマートフォンiPhoneのカメラは1/2.3型のセンサーが多いので、背景ぼかし効果のエフェクターを使わない限り左上のテスト結果に概ね準ずるはず。いや、広角前提だからさらに深い被写界深度となるはず。

  今回のテストでは被写界深度の相違しか分からないが、本来大型イメージセンサーの持つアドバンテージは情報量の多さにある。例えば同じ画素数でセンサーサイズが大型ならば、1画素あたりの素子が大きくとれるので情報容量も多くなる。結果として写真の階調や色数が豊かになるし高感度でのノイズも減るので、高画質に拘るほどフルサイズ機を欲するのは道理でもある訳だ。とは言えもっぱら超望遠レンズを使用する野鳥撮影に関しては、フルサイズ機が不利なのは以前のテストでも明白だった。 

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 センサーサイズが大きいほど高画質ではあるが、一方で圧倒的な携行性や取り回しなど小型であるが故のメリットも計り知れない。スマートフォンとの棲み分けも考慮し、かつオートのモードにも一眼レフ並みの設定がある1型センサーのデジタルカメラには十分な存在意義を見いだせる。要は用途と目的次第と言うことだ。(価格の差にはあえて触れますまい)

*1:NikonFXフォーマット

*2:NikonDXフォーマット

*3:ミラー機構のある一眼レフとしてはさすがに例外ケースだと思うが、フルサイズEOS 6DmarkII(685g)はAPS-CEOS 7D(820g)より135g軽量