夢は月面を彷徨う

月の旅(月齢10.554)

  気がつけば上弦はとっくに過ぎて、満月まで3日ほど。
デジスコ及び高倍率アイピースが復活したので、月を見上げる顔がついつい綻んでしまう。自覚しているつもりではいたけれど、なんとまぁ単純な奴だ。f:id:Tpong:20190515223745j:plain

 デジスコ用途に購入したデジタルカメラCanon Powershot G9 X Mark II)を弄っていたら、「デジタルテレコンバーター」なる機能があることに気付いた。フレームを切り取るクロップ機能だと思うのだが、とりあえず2x設定で有名な二カ所のクレーター界隈を撮影してみた。

 Exif情報では焦点距離が30.6mmだが、2xを信じるなら50xアイピースと組み合わせた合成値は8400mm相当の画角。50mmを基準とした単純計算では168倍の世界となる。

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↑ コペルニクスクレーター(左下)の直径は93kmで、外輪山頂からの深さは富士山がすっぽり入る3700m。

 中央上部はアペニン山脈。総距離600kmで標高は5000m。月の山々も登山の対象となる日が来るのだろうか。空気や水の問題を度外視すれば低重力(地球の1/6)で楽に登れそうな気もするが。

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↑ ティコクレーターは南半球で際だって目立つ存在。直径は85kmだが外輪からボトムまで4800mとかなりの深さ。このクレーターを起点とする光条(放射状の光の筋)は1500kmにも及び、満月だと非常に目立つ。tpong.hatenablog.com

 満月は美しい。けれど、月面そのものを観望するには順光過ぎる。陰影が無い為に面白みを欠いてしまうのだ。そんな満月ではあるけれど、唯一の妙味がティコなどのクレーターから伸びる光条だとさえ思っている。

 直近の満月は18日(土)だが、前後数日ほどはティコの光条が良く見える。双眼鏡でも十分見えるので、梅雨入り前の月面散歩など如何だろうか。

- 撮影データ:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-9W(50x)