黒腹鯵刺(クロハラアジサシ)

【チドリ目カモメ科】
 多摩川に珍客との情報をJIMMYさんよりいただき、押っ取り刀で出かけてきた。いうまでもなく初見だ。
 種名からすると黒い腹部を連想するが「名は体を表す」のは夏羽に限った話のようだ。秋の渡りのこの時期、彼らはすでに冬羽に移行中で、腹部にはわずかな黒ずみを残すのみだった。

↓こちらは幼羽と思われる。

↓腹部に黒濁が見えるが、クロハラとは言い難い。

 渡りのメインルートを外れている為か南西諸島以外の日本では比較的レアなクロハラアジサシだが、今月に入ってから各地で観察されているようだ。その原因は先月末に南西から北東へと日本列島のほぼ全域を揺さぶった台風17号。渡りの時期は台風によって迷行する渡り鳥が珍しくないし内心期待もしていたのだが、実際に迷い込んだ個体を見ると気の毒に思えてくる。この後無事に避寒地へのルートに乗れることを祈るのみだ。

撮影データ :<上・中> Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース) / CASIO EX-Z850 <下> Canon EOS 20D + EF400mmF5.6L USM / 2012年10月 多摩川