ノビタキ♀(野鶲)
【スズメ目ヒタキ科】
9月から10月は山や高原で繁殖を終えた夏鳥たちにとって渡りの季節。ツバメは特定の場所に集結して集団で旅立つが、小型のヒタキなどは三々五々といった様子で去って行く。ほとんどは東南アジア方面への渡りだが、その初期の過程では平野部を抜けていくこととなる。
平野部に住まうバードウォッチャーは俄然色めき立つことになるし、不肖ヒゲボウズもその例外ではいられない。とは言え悲しいかな貧乏暇無しを絵に描いたような日常。たまの休日が所用や悪天候で潰れると膝を抱えたような気分で過ごすこととなる。
さて高原で繁殖を終えたノビタキ。平野部の稲刈りが終わったころ、長旅に向けて虫を食みつつ通過していく。日干し稲穂やススキ野原はそうした旅の中継点として都合がよいらしく、そういった彼らの好む条件を理解してしまえば案外見つけ易い鳥種でもある。
稲藁干しの為にパイプが組まれていたが、数メートルの間隔は比較的ピントが深いデジスコにとっても離れすぎている。隣のパイプにいるボケボケの鳥はスズメ。
だがこんなショットでもノビタキがスズメより小ぶりらしいことは見て取れる。Wikipediaで確認したところ、1~2センチほどの差があるようだ。
夏鳥の南下と渡洋は文字通りエクソダスではあるけれど、来年初夏の帰還も約束されていなければならない。旅の過程で遭遇するであろう台風や猛禽類などを上手くやり過ごし、「約束の地」に戻ってくること念じて止まない。
- 撮影データ:CASIO EX-Z850 / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)