ヒゲボウズ的コンパクトカー選び

ヒゲボウズ家の脚を務めてくれているフォレスターも車齢14年と老朽化し、故障頻発とは先日記した通り。
旧車イジメ政策により車齢13年目から自動車税も上がり、嫌も応もなくクルマ選びを迫られる。
当初は経済性に優れ使い勝手がよい軽ワゴンを考えたのだが、思いのほか車両価格が高額。
これならマーチクラスの方が良いではないかと考えるうちに、いわゆる5ナンバー枠のコンパクトカーに辿り着く。

振り返ればジムニーノマド、そしてフォレスターと続いたマイカーの系譜は全て競合なしの指名買いだった。
今回は事前の関心が薄かったこともあり、これといった車種が思い浮かばない。
そこで友人知人の声、専門メディアやネット上の評価をかき集め、クルマメーカー4社から5車種をピックアップ。
その上で実車をチェックし試乗することで、ヒゲボウズ家の次期車両を決めることにする。

1.トヨタ アクア S (1.5L & EV) > http://toyota.jp/aqua/
2.ホンダ フィット ハイブリッド Lパッケージ (1.5L & EV) > http://www.honda.co.jp/Fit/
3.ホンダ フィット 13G Lパッケージ (1.3L)
4.ニッサン ノート X DIG-S Vセレクション (1.2L+エコスーパーチャージャー) > http://www2.nissan.co.jp/NOTE/
5.マツダ デミオ XD Touring (1.5L クリーンディーゼルターボ) > http://www.mazda.co.jp/cars/demio/


ザックリとした○×は以下の通りだが、あくまでもヒゲボウズの主観であり、根拠のある優劣ではないことをお断りしておこう。

1.アクア JC08モード 37.0km/L (全グレード)
  ○:圧倒的な低燃費*1・良好な動力性能・豊富な色設定・TOYOTAブランドの信頼感
  ×:狭い車内空間・プリウスと大差のない高めな価格・自動制動システムの設定が無い

2.フィット ハイブリッド JC08モード 33.6km/L (ハイブリッド F or Lパッケージ)
  ○:アクアに次ぐ低燃費*2・ダントツの加速力・広く静かな車内空間
  ×:度重なるリコール問題で揺らぐ信頼感

3.フィット ガソリン JC08モード 24.6km/L (13G F or Lパッケージ)
  ○:広い車内空間・安価な設定
  ×:動力性能がやや不足気味

4.ノート エコスーパーチャージャー JC08モード 24.0km/L (X DIG-S)
  ○:最も広い車内空間・良好な燃費・自動制動システムの充実
  ×:過給器作動時のギクシャク感・色の設定がおとなしい・荷室カバーの設定が無い

5.デミオ SKYACTIV-D1.5 JC08モード 26.4km/L (XD)
  ○:軽油によるハイブリッド並の低燃費・トルクが太く高レスポンス・上質な内装
  ×:狭い車内空間・わずかな排気臭・限られた後方視界

燃費についてはフィット13Gでさえ市街地での実燃費13〜15km/Lと老いたフォレスターの倍は走る。
ガソリンをリッター130円と仮定し10万キロ走ったとしても、25km/Lと14km/Lでは通算ガソリン代の差額が約41万円。
同じフィットの13Gとハイブリッドを実燃費で比較すると、10万キロ走行でトータルコストが追いつくかどうか。
今回最も高価だったハイブリッド車アクアとの車両価格差(実質60万円)を考えると、むしろフィット13Gの方が通算の経済性は高い。

となると車内空間と動力性能を中心に検討することになるのだが、この段階で後席空間が狭いアクアとデミオは外さざるをえない。
両車とも必要十分なレッグスペースは確保できているのだが、ヘッドクリアランスが不足気味。
背高族のヒゲボウズ家にとってはプラスアルファの余裕が欲しい。
またアクアは設定価格が高く、むしろ+15万円で室内余裕のあるプリウスにランクアップするべきとさえ思えてしまう。
だが、車の超基本的なところ「走りが楽しい」を具現化したデミオには理屈抜きで惹かれたなぁ。

尚、デミオ以外の試乗は身長169cmの娘にも手伝ってもらった。
助手席と後席の座り心地や乗降性、ノイズや段差での挙動など、ドライバーには把握しにくい意見を引き出せた。

フィットのガソリンとハイブリッドは当然ながらほとんど変わらぬ室内空間。
連続試乗したところ、登坂加速にストレスがあり、ややノイジーな1.3Lガソリン車が翳んでしまう結果に。

絞り込んだ2車種、動力性能が高いフィットハイブリッドと最も車内空間が広いノートの間でかなり悩む。

ノートは加速のギクシャク感こそ気になるものの、他車より高性能で制約の少ない自動ブレーキを選べることが魅力。
後席も広く、180cmのヒゲボウズが運転席を位置決めして後席に座ると、前席との間に膝先からコブシ三つ分の隙間が出来るほど。
若干安価な分だけに、同額水準なら全周モニターなどライバルに無い便利なオプションを追加できる。
だが最終的にノートを諦めるに至った伏兵が、標準どころかオプションにも設定が無い荷室のカバー。
カメラバッグや三脚を積んだクルマから離れることを想定すると、外から丸見えの荷室は防犯上宜しくない。
フォレスターではトノカバーが標準仕様だったこともあり、ヒゲボウズとしては当たり前と認識していた装備でもある。

という過程を経て、消去法で残ったのがフィットハイブリッド

まさかのドッカン全開加速には驚いたが、ほかの特徴はそれぞれの要素で次点の印象だった。
もともとエコノミーとエコロージーを両立している点でハイブリッド車に興味がなかったといえば嘘になる。
現実面でもナビやETCのサービスキャンペーン中だったことが少々有利に作用したと思う。
だがそれ以上に平均点で勝った(買った)というのが案外本音かもしれない。
2013年の発売以後相次ぐリコールで信頼を揺るがせたが、2014年10月のマイナーチェンジで不具合を改善したと聞く。
購入を決めた以上、リコールが収束していることを祈るのみ。頼むよホンダさん。

蛇足だが、注目すべきはデミオの存在感。
とにかく運転そのものが楽しく、着座して上質なダッシュボードを眺め回すだけで楽しくなる。
軽油はレギュラーガソリンより20%ほど価格が安いため、実燃費が20km/Lならアクアに迫る低燃費といえる。
原油の採掘から精製、そして燃料として燃えるまでの全行程を比較すると、ガソリンより軽油の方が廃棄物質が少ないとも聞く。
ヨーロッパではクリーンディーゼルが主流というのもうなずける。
ヒゲボウズ家は常時3人乗車前提で絞ったが、通常2名乗車の想定ならデミオを選択していたと断言しよう。
デミオのクリーンディーゼルターボはカーオブザイヤーも納得の出来映え、まさしく「良いクルマ」だ。
マツダさん、トヨタ様と提携を深めても八方美人にはならないでね。

*1:重量が異なる全てのグレードでJC08モードの値が同じということは評価に値する

*2:JC08モード36.4km/Lを達成したグレードは燃料タンクを小型化するなど燃費性能に特化した専用モデル 評価できる手段ではない