恐竜想像図の違和感

 子供の頃に目にしていた恐竜の想像図といえば、地味な色合いで無毛と相場が決まっていました。当時恐竜は一律には虫類と考えられていたので、実在するコモドドラゴンやイグアナの仲間あたりを想像のベースとしていたのでしょうか。


 そんな恐竜も、最近では温血説や羽毛説、そして鳥類の祖先であったとする考え方に変わってきました。想像図の世界も極彩色の羽毛を身に纏った小型恐竜の姿を描いたものや、無毛でもおどろおどろしい彩色を施された大型恐竜のイラストが幅をきかせています。彼らの子孫とされる現世鳥類、それも熱帯林に棲むフウチョウやサイチョウ、大型インコなどの目にも鮮やかな羽毛が念頭にあるのかもしれません。


 さて、ここで異論です。鳥類の派手な彩色は往々にしてオスであり、同類メスへのアピールである場合が普通です。そしてその派手さ故に捕食者の脅威に晒されることにも繋がります。敏捷で飛翔能力に優れた現世の鳥類ならば飛ぶことで捕食者から逃れることも可能でしょう。しかし、骨格の解析から滑空かせいぜい羽ばたきの初期段階だったと考えられる小型恐竜が生存を脅かしかねない極彩色を身に纏ったかどうか、疑問を持たざるを得ません。そして、ライオンやトラ、ヒョウなどのネコ科の大型捕食獣の彩色も、その生息環境にあっては獲物から発見されにくい色柄であることを思い起こすべきだと思うのです。
カモ類のように求愛シーズン限定の派手な彩色ということなら可能性もあるかもしれませんが、日頃から身近な野鳥たちの迷彩ウェアに惑わされっぱなしの私としては、極彩色を身に纏う恐竜の姿がどうしても想像出来ずにいます。