熱帯夜の月(月齢10.699)

 日が暮れても爽やかさが微塵もない熱帯夜。月にスコープを向けてもユラユラと大気がうごめいているようで、輪郭が歪んでいる。
気がつけば随分肥えてきた。満月は日曜未明に迫っている。

 昨夜のコペルニクスに続き、今日の最大倍率(35mm換算焦点距離は5700mm相当)はティコクレーター界隈を捉えてみた。

 直径は85kmとコペルニクスよりやや小さいが、深度は4800mもあり、そこから見上げる外輪山はヨーロッパアルプス並みの高さだ。そしてティコから放射状に伸びる白っぽい筋。これらは光条と呼ばれ、1億800万年前にティコが出来た際に吹き飛ばされた物質の痕跡だそうだ。
 ちなみに「2001年宇宙の旅」で描かれた木星への旅は、ティコクレーターで謎の物体「モノリス」が発見されたことに端を発している。他にも死後5万年の深紅の宇宙服をまとった遺体(星を継ぐもの)だの、SHADOの前線基地ムーンベース(謎の円盤UFO)だのと月面はなかなか賑やからしい。

撮影データ :Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース) / CASIO EX-Z850