グリーンアノール

 小笠原諸島ユネスコ世界自然遺産に登録された。だが、どうやら喜んでばかりはいられない現状のようだ。その一例が外来の爬虫類グリーンアノール。生息密度が高く昆虫食であるため、オガサワラシジミなど小笠原固有の昆虫が絶滅の憂き目に遭っている。1960年代にペットとして(物資に紛れていたという説もある)米軍*1により持ち込まれたらしいが、沖縄島やサイパン・グアムなどのマリアナ諸島でも同様の事象が起きている。選択的な駆除は困難らしく決定打はないようだし、固有亜種のオガサワラノスリの主たる捕食対象にもなっているようで、仮に駆除が成功すれば、今度はオガサワラノスリが絶滅の危機にさらされかねない。

 画像は2005年にマリアナ諸島サイパンで撮影した個体。クリックするとそこそこ大きな画像となるが、爬虫類が苦手な向きは「触らぬ神に祟りなし」であることを添えておく。
 マリアナ諸島ではこの他に樹上性のヘビであるナンヨウオオガシラ(ブラウンツリースネーク)が米軍の物資に紛れるなどして人為的に進入し、グアムクイナなど固有の鳥類が7種以上絶滅したとされている。米軍の基地問題には外来生物の移入という側面もあることを承知しておくべきだろう。

*1:小笠原は戦後米軍の統治下にあったが、1968年に返還