尉鶲(ジョウビタキ)♀

 ちょっとした実験(あるいはイタズラ)。フィールドでの咄嗟の思いつきで携帯電話の音楽プレーヤー機能を利用し、他のジョウビタキの地鳴きを聞かせるとどんな行動をとるのか試してみた。携帯電話のスピーカー再生音では音量が小さすぎるとの懸念は杞憂に終わり、20メートルほど離れたジョウビタキが示した反応は予想を超えるものだった。
 さてその反応だが、時系列順に記すと以下の通り。

  1. 自らも地鳴きしながら遠巻きに音源を探る(およそ5分ほどか)
  2. 積極的に接近し正体を見極めようとする(最短時で音源まで2メートルまで接近)
  3. 近くに駐車していた小型トラックのバックミラーやフロントガラスに映る自分に激しく反応

要するにテリトリーへの侵入者に対し 探知 > 接敵 > 攻撃 を行っているわけだ。


 試みを終え「成るほどやはりな」と思いつつも妙な後ろめたさも味わった。ある種の野鳥に対しては口笛で呼び寄せる術も知っているが、この手のおびき寄せに機械を介するのはどうも後味がよろしくない。生態系への不要な介入という意味では餌付けによるおびき寄せほどではないにせよ、「やらせ」に通じる手段としては餌付けと同様の危険を孕んでいることは確かだ。今回の実験で納得し、もう二度とこの手は使うまい。 
撮影 : 2009年11月 川崎市麻生区
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