教師の資質

 公立高校に通う娘からある教師にまつわる愚痴話を聞いた。どうやらこの教師は相手を選ぶ性格のようで、娘を含む一部の生徒との相性があまり良くないようだ。反りが合わない上司と部下など実社会では珍しくもない話だが、これが学校教育の現場となると運不運では泣くに泣けない。ある学科の出来不出来が進路を左右することもあるからだ。この手の経験は我が身にも覚えがあり、高校時代に「数学嫌い」の直接的な原因となったのが担当教師との確執だったことを思い出す。
 さて、平たく考えても教師とはまったく難しい商売だ。おそらくその適正資質は百人、千人に一人いるかどうかと思えるほどの貴重なものだろう。現実には到底向いていなさそうな教師が少なからず教壇に立っているわけだ。必ずしも資質に欠ける人間が駄目なわけではないし、他の職業を俯瞰しても適正を欠きながらも成功している例が少なからずある。が、こと教師は相対する子供(ないしは青年)の将来を左右しかねない難しい職業だ。ひょっとすると雇用と収入を保証される公務員には難しいことなのかもしれないけれど、願わくば資質に関する自問自答と「重さ」を忘れすに過ごしていただきたいものだ。