あかつき

 JAXAの金星探査機「あかつき」が、金星の周回軌道投入に失敗した。6年後の再接近時に再度投入を試みるそうだが、既にメディアの論調は146億円が無駄になったといったものが大半だ。しかしながら、宇宙探査は言うまでもなく未知への挑戦であり、失敗を糧にしてこそ次の一手が繰り出せるのは科学全般の常識ですらあるはずだ。
 我らが日本が「科学立国」であらねばならないことを忘れた政治家や一部浅慮なメディア諸氏は理解していないようだが、我々が今このときに享受している様々なテクノロジーはある日突然完成したわけではない。失敗を積み重ねた末に、ときには異目的の失敗から偶然に発見され今に至っているのだ。成功するに越したことはないが、失敗を即ち無駄と決めつけるが如き愚はくれぐれも正していただきたいものだ。