小説で読むネアンデルタール人

ネアンデルタール (ソニー・マガジンズ文庫)

ネアンデルタール (ソニー・マガジンズ文庫)

イラク北部のシャニダール洞窟で発見されたネアンデルタール人の化石脇から花束の痕跡ともとれる花粉が見つかったことから、彼らには死者を悼む習慣があったとする仮説が提唱されています。*1他にもかなりの期間我々ホモサピエンス(いわゆるクロマニョン人)と共存していたことが分かっており、彼らの化石や遺跡が集中するヨーロッパでの関心は相当なもののようです。
そんな「ネアンデルタールブーム」とも呼べそうな時流に乗って出版されたのが本書。2万数千年前に絶滅したはずのネアンデルタール人が生き延びていたという想定のもとに書かれた冒険小説です。実際には「種」として生存可能な個体数を割り込んだ「群」が数万年も生き延びることはあり得ないけれど、コナン・ドイルの「失われた世界」にも通じる面白さは否定のしようがありません。
★★★☆☆

*1:花束副葬品説には異論も多い