宗教って?

 whitewitchさんのエントリー、「宗教って?」を拝読して思い出したエピソードがある。

 ウン十年前の若かりし頃、中南米をさすらったときのこと。とある長距離バスで隣り合わせた現地の大学生と仲良くなり、お互い片言の英語ながらとりとめのない会話で長旅の退屈をしのいでいた。なんのきっかけだったかお互いの宗教の話になったのだが、敬虔なカトリックの彼は、宗教に関し特にないよと答えた私に驚きそして怒ったのだ。曰く、カトリックであろうがなかろうが、神を信じることは人とそうでないものを隔てる垣根であると。そして宗旨を問わず神を否定してはいけないとも。

 あのときの自分は極めて日本人的な感覚で宗教色の希薄さを語ったつもりだったのだが、この手痛い反撃には畏れ入った。彼は異教徒を許容し、無神論者を否定したのだった。

 あれ以来、信心の多寡はさておき仏教徒、それも臨済宗と父祖からの宗旨を名乗るようにしている。そうであれという思いもあるのだが、それ以上に「神」という世界共通のスケール(幻想だけど)を否定してはいけないと思うようになったことでもある。

 神を信じるものは宗教を問わず善人なのだろう。けれど特定の宗旨を唯一と信じた瞬間に世界は憎悪に満たされれしまう。人を統べる愛にも凶器にもなってしまう、けれどと否定すれば尚更厄介。さて、宗教って何だろうね?