スズメ今昔物語

スズメ(雀)

【スズメ目スズメ科】

 収穫間際の田圃で10羽ほどのスズメと彼らに倍するカワラヒワの群れを見かけた。今やカワラヒワにさえ数で負けているスズメの凋落に唖然とする。

 そういえば黄金色の田圃でスズメの乱舞を見たのはいつだっただろうか。バックアップ用のハードディスクを遡ること14年、ようやく見つけ2005年のフォルダーから引っ張り出したのがこの画像。

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 スズメが減っているといわれ始めて何年経つだろう。横浜郊外という穀倉地帯とは言い難い土地柄もあるだろうが、その傾向は実感などという言葉では追いつかない。この時期の田圃で防鳥ネットを見かけることも少なくなってきたし、案山子にいたってはコンクール的なイベントでしか見かけない。

 子供のころの当たり前の光景が過去のものとなっていくのは致し方ないことだ。だが日常を取り巻く生物の多様性がゴッソリと失われていく現実はただ事ではない。

 大型化する台風など自然災害の元凶を温暖化に結びつける説が有力だが、被害を被るのは人間だけではない。台風15号は千葉県や伊豆諸島などに大きな災害をもたらせたが、南関東の広範囲でスズメやムクドリが落命したことはあまり報じられていないようだ。家屋の構造が変わったことや藪の減少など、理由は幾つか思い当たる。

 スズメが住めないところには人も暮らせない。そんな当たり前な事に気付くことが先決かもしれない。

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