WHO ARE YOU?

オシドリ(鴛鴦) 交雑? ♂エクリプス

【カモ目カモ科】

 山階鳥類研究所よりオシドリ♂のエクリプスとご教示いただきました。交雑云々は不肖ヒゲボウズの勇み足だったので訂正させていただきます。図鑑で見るエクリプスは総じてメスに似ているので、繁殖羽からエクリプスへの過渡期と考えるのが正しいようです。ただ、怪我の様子もないことからなぜこの時季に平地の水田にいたのかという疑問は残りました。(7/11)

  小雨降るいつもの田んぼ。双眼鏡の視界に捉えたと同時に頭の中は「Who are you?」の疑問符だらけ。カモらしいことはわかるのだが、頭部の橙色模様に見覚えがない。台風で迷行した国外種かなどとあらぬ妄想を膨らませているうちに飛び去ってしまった。

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 三脚に据えたデジスコを担ぎ、気分はダッシュ、現実にはヨタヨタと飛び去った方向を追う。ゼイゼイと息を切らせつつ見届けた着地地点にスコープを向けてみると、カルガモの隣で全身をさらしてくれた。

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 後ろのカルガモと比べると二回りほど小さくコガモほどのサイズのようだ。頭部の模様やクチバシの形状にはオシドリ♂の面影が見て取れる。翼鏡という光沢質の部分や足の色などはカルガモの影響を思わせるし、なによりもカルガモと行動しているように見受けられる。本人(本鳥)はカルガモと自覚しているのだろうし、周りのカルガモも拒む様子はなかった。

 鳥類の中でもカモの仲間は交雑が多いことで知られている。事実我が家周辺のカルガモはかなりの確率でマガモの血が混じっているいわゆる「マルガモ*1」だし、ネットや図鑑にも交雑カモの情報が数多ある。 のだが・・・・オシドリカルガモはその事例を見た記憶がない。 本当のところは専門家に判断を仰ぐしかないのだが、カルガモオシドリの交雑である可能性が高そうだ。

 バードウオッチングの好適地でもなければ有名な探鳥スポットでもない平凡な田んぼだが、訪れる都度に何かしらの発見がある。やはり歩いてナンボだなぁ。

- 撮影データ:Canon PowerShot G9 X Mark II / Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32x)

追記(7/4):

 可能性のひとつとして、オシドリ♂の繁殖羽からエクリプスへの換羽中画像を検索してみた。意外に多くの画像がヒットする。

 カモ類のエクリプスとは、非求愛・繁殖期に目を惹く夏羽(繁殖羽)から目立ちにくい羽衣に換羽した状態のこと。多くの場合メスに似た地味な羽衣となる。その換羽の過渡期ならばと考えたのだが、はっきりと該当しそうな画像を見つけることは出来なかった。

 さらに、当初の見識不足に気が付いた。カルガモ的だと考えていた翼鏡と脚の色だが、脚の色はオシドリの特徴でもあるようだ。交雑と仮定してもカルガモは疑わしい。カルガモと行動していたことからの先入観に囚われてしまったと反省。 そんなわけで、当初のタイトルからカルガモを外した。

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 体の中心部(脇もしくは上雨覆)に細かい白黒斑模様が確認できるのだが、コガモマガモオナガガモヨシガモオカヨシガモヒドリガモトモエガモなど多くの種類のオスで一般的な繁殖羽なので、オシドリ以外の交雑相手を絞り込む材料にはならない。

 時季的には繁殖羽からエクリプスへの過渡期と考えるのが無難だろうが、そもそもオシドリがいるはずのない場所だけに悩ましい。そして羽衣の特徴など交雑を疑う要素も捨てきれない。

 ここ数日ほど無い頭を絞って考え続けたが、なんちゃってバードウオッチャーの手に負えるものではなさそうだ。

*1:マガモカルガモによる非公式な造語orスラング