上弦の月と下弦の月

月はおよそ29.5日かけて一巡するが、その間朔(新月)から数えて7日目頃と21日目頃の二回半月状となる。
半月の別名は弦月で、満ちていく過程の半月を上弦の月、欠けつつある半月を下弦の月という。
(↓ちょっと手直しした再掲画像だがクリックすると8000x600pixelの巨大画像が表示される)

上弦の頃、日中に東の地平を昇る月は欠けた側を下に向けたドーム状で、夕方頃に左半分を切り落とした状態で正立する。
そして深夜頃、欠けた側を上に向けた椀状で西の地平へと没していく。

下弦月の出現は深夜。東の地平を欠けた側を上にして昇ってくる。
早朝に右半分が欠けた状態で正立した月は、昼頃に欠けた側を下に向け西の地平に没していく。

上弦下弦の由来だが、俗に言われる弓に見立てた形状の上下を根拠とするのは誤解。
かつての日本は朔→満月→朔と循環する月の運行に則した陰暦(旧暦)を使っていた。
その旧暦月の上旬に見られる弦月が上弦月、下旬に見られる弦月を下弦月と呼ぶ呼称が陰暦の廃れた現代に至っている。
つまり「上」は「前」、「下」は「後」を意味し、弦月の時系列を指しているわけだ。

月は絶えず同じ面を地球に向けているので、上弦下弦で見られる月の地形は一定している*1
再掲した合成画像はそれぞれ弦月よりわずかに細い月齢のものだが、向かって右が上弦、左が下弦の月面となる。
どちらも半月と括っていてるが、望遠鏡で見るとそれぞれ個性的な表情がうかがえる。

29.5日を数値化した月齢だけで表現すると味気ないけれど、三日月を眉月とよんだりする古称を念頭に眺めると風流なものだ。
一方で望遠鏡越しに眺める月の地表は科学の夢をかき立てる。
偉そうにツラツラ書きなぐったが、科学分野と人文分野が隣り合わせなのも「月」の魅力だと思う次第。


ps.↑の駄文はid:umryuyanagi104さんからいただいたコメント(4/19)から想起し書いてみた。
こんなんでお分かりいただけましょうか?

*1:秤動による若干の差異はある