【カッコウ目カッコウ科】
五月初旬、ゴールデンウィークの後半辺り、地元里山には「ポポ、ポポ、ポポ」と筒を叩いたような音が鳴り響く。予備知識がなければ鳥の鳴き声とは思いも寄らないが、その名の由来が竹筒や塩ビ管を叩いたような鳴き声にあることは説明するまでもないだろう。
ツツドリはカッコウやホトトギスの仲間で、カッコウ科、年季の入ったバードウォッチャーが呼び習わすところの杜鵑類(トケンルイ)に当たる。日本にはジュウイチを加え4種のトケンが渡ってくるが、そのいずれもが他の鳥の巣に卵を産み付ける托卵を行うことで知られている。ツツドリが托卵の相手として狙うセンダイムシクイは、ほぼ同じ季節に地元里山に現れ、五月中旬にはより山深い(と言っても高山ではないほどの)エリアに移動して繁殖を行う。それに先だって姿を消すツツドリは、どうやらセンダイムシクイの先回りを図っているのではないかと推測している。托卵には小狡いイメージがつきまとうけれど、仕掛ける側にもそれなりの苦労があるのだろう。
長年鳴き声ばかりで、その姿も一瞬見かけるのみだったツツドリの情報をいただいた。秋の渡り中、某所に出没しているとのこと。押っ取り刀で駆けつけてきた。運良く遭遇できたものの生憎の半逆光に枝被り。でも贅沢は言うまい、初撮りなのだから。
JIMMYさん、情報提供と現地でのご教示、ありがとうございました。
撮影データ :Kowa TSN-824M + TSE-14WE(32xアイピース) / CASIO EX-Z850 / 2012年09月 東京都