ナミテントウ

 テントウムシの仲間はその食性から肉食性、菌食性、草食性の3グループに大別される。言葉のイメージからは草食性がおとなしそうだが、人間の利害からすれば農作物を荒らす害虫ということになる。対して農作物に害なす虫を食べる肉食性と、ブドウや麦類などを枯らす菌類を食べる菌食性のテントウムシは善玉即ち益虫として歓迎されてる。

 最近では生物農薬として注目され、名古屋大学の研究グループは畑に定着するよう飛べないテントウムシを人工的に作り出すことに成功している。翅形成のRNAを分解するRNA干渉法によって作り出されたテントウムシが在来種と交配してもの通常のテントウムシが生まれるので、遺伝子組換と異なり生態系に影響を与えないことが最大の売り。野菜畑や果樹園で飛べないテントウムシが活躍してくれるのも遠いことではなさそうだ。

 さて、肉食性の中でポピュラーなのがナナホシテントウと本種ナミテントウナミテントウは上翅の色や模様が多様だが、比較的よく見かけるのが今回撮影したオレンジ色の地に黒い星紋が19個あるパターンと黒地に赤い星紋が2個あるパターン。本種に限らず善玉のテントウムシは光沢質の上翅が宝石のように美しいが、ニジュウヤホシテントウなど悪玉のテントウムシは上翅が毛に覆われ光沢が無くいかにも害虫然としている。人間にとっての利害と見た目の印象が噛み合っているのが妙に面白い。
撮影データ :Canon EOS 5D + Canon EF100mmF2.8 Macro USM / 2012年06月