更待月(月齢19.510)

 中秋を過ぎたとは思えない蒸し暑い風に吹かれ、月の輪郭もそわそわと落ち着かない。旧暦も二十日となり、目立って痩せてきた月が中天を渡るのは夜も随分更けてから。立待月から続く○待月の古名も今宵の更待月で途絶えてしまう。これより遅い月の出を待つほどに、漆黒の夜を過ごした古人は酔狂ではなかったのだろう。
 
 時代は下り、夜を生きる酔狂なオヤジは日付の変わった深夜の月にデジスコを向ける。
 欠けてきたのを幸に、アスベクト比ギリギリの倍率で強引に撮影。微動装置のないビデオ雲台なので、フレーミングには苦労を強いられる。ティコ界隈の立体感が損なわれないことを念頭にトーンを調整した以外はリサイズのみ。大気状態の割にはメリハリのある画像が得られた。

 このところ昼夜逆転の日々。珍しくフィールドワークの昨夜は臥待月が輝いていたかと思えば雨に叩かれ、夜版の狐の嫁入りを身をもって味わった。それでも風邪をひかないのが馬鹿の所以とも思うのだが、秋とは思えない蒸し暑さがむしろ幸だった。つくづく夏が居座るね。

撮影データ :Kowa TSN-824M + TSE-9W(50xアイピース) / CASIO EX-Z850