鴨川シーワールドの海獣たち

 横浜ベイブリッジからアクアライン東京湾を一跨ぎ。房総半島を横切ると陽光溢れる外房の海が現れた。八月最後の日曜日、一日ぐらいは家族の夏休みを実感したいとの声に押されて十数年ぶりの鴨川シーワールド。すっかり童心に返って過ごしてきた。

 まず出迎えてくれたのがベルーガシロイルカ)。目隠し実験を通して彼らの持つ反響定位エコーロケーション)やコミュニケーションの能力を紹介するショープログラムは秀逸だ。

 鴨川シーワールドの看板スターは誰がなんと言おうがシャチだろう。トレーナーと一体となったショーは流石としか言いようがない。トレーナーがやたら格好良く、ベテラン風の男性トレーナーが繰り出す人鯱一体の技には、江戸の出初め式や木場の丸太乗りを見るような「粋」すら感じてしまった。遠出しても一見の価値はある。
 ところでデジタル一眼レフならこういう瞬間を撮るのはさほど難しいことではない。とは言え意図した通りの刹那を切り取れたときはそれなりの爽快感が得られるものだ。シャチのスプラッシュからカメラを守りつつ、ジャンプの出所を予想しながらの撮影はスポーツ感覚で楽しめた。

 イルカプールのコビレゴンドウを水中窓からラッセン風に撮ってみた。こうした遊びの写真が楽しめるのも水族館の魅力かも。でもフラッシュを焚きまくるマナー違反が多いのには閉口するけどね。

 トロピカルアイランド館の「南国の渚」水槽にいたアカウミガメ。展示が素晴らしくガラス越しであることを忘れて見とれてしまう。

 午前9時に入場し、一通り見終わってみれば16時を廻っていた。鴨川シーワールドは水槽展示の観点ではさほどの規模ではないけれど、シャチをはじめとする海棲哺乳類の見せ方には目を見張るものがある。ホテル併設も肯ける充実ぶりだった。

 外房の波浪は高く、ビーチサイドの駐車場で終日潮風に曝されたクルマは塩に白く塗れていた。週の半ばには台風12号が来るかもしれない。九月の台風をやり過ごせばいよいよ秋だね。

撮影データ :Canon EOS 5D + 〈上2点〉EF70-300mmF4-5.6IS USM ・〈下2点〉EF17-40mmF4L USM/ 2011年08月 千葉県鴨川シーワールド