翡翠(カワセミ)♂

 小河川の土手上から「ダルマさんが転んだ作戦」で慎重に距離を詰めていった結果、久々に成鳥の近接撮影に成功した。オリジナルで眼の部分を拡大すると、土手の上から撮影している自分らしきシルエットが映り込んでいた。


 ところでこのオスのクチバシはかなり使い込まれた様子でガタガタだ。この個体に限らず市街地を流れる小河川をテリトリーにしているカワセミは総じてクチバシが傷んでいる傾向にある。公園池や湖沼を縄張りとするカワセミのクチバシとはずいぶん違うので、おそらく浅い水深や川底のコンクリートや岩石をものともせずダイビングすることによる「歴戦の傷痕」なのだろう。生きるということは命を削ることでもあるのだと改めて気付かされる思いだ。


 なお、クチバシは摩耗しても徐々に再生してゆくので、多少の欠損には耐性があると考えられる。が、折れたり大きな亀裂が入ったりすると死に直面することとなる。かつてクチバシに亀裂の入ったカワセミ多摩川で目撃したことがあるけれど、あれでは長く生きられないだろう。

撮影 : 2009年10月 横浜市青葉区
↓参考:公園池をテリトリーにするメスの成鳥。底が泥質の湖沼で餌を捕らえるカワセミは美しいクチバシを維持している。

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