過去より得るもの

「忘れられた歴史は繰り返す」とはアメリカの哲学者ジョージ・サンタヤナの残した言葉。そう、忘れさえしなければ人は過去の事例に学ぶことによって過ちの連鎖をくい止めることが出来るはず・・・・なのです。

かつての日本は「神州不滅」や「大東亜共栄圏」といった妄信とも画餅ともつかぬ幻影を国民に刷り込み、そのあげく侵略者としての汚名を世界史に刻むこととなってしまいました。刷り込み教育とは恐いもので、戦後の教育を受けた我々が如何に批判しようとも当時の国民意識を笑うことは所詮後知恵なのです。とは言え手痛い代償を払っただけの教訓は得られました。そしてそれは我々日本人のみならず世界の人々が共有すべき認識でなければなりません。

今まさに世界を騒然とさせているチベット問題。そして各国を巡る聖火リレー。そもそもオリンピック開催とは当事国が自ら望んで世界の耳目を集めるイベントに他なりません。国際世論に耳を傾け人権に対する認識を新たにする絶好の機会と捉え、チベット政策の軌道を修正する絶好の機会としてほしいもの。刷り込まれた価値観を正すのは容易ではないけれど、他方の主張に耳を傾けることが第一歩のはず。まずはダライ・ラマとのオープンな対話から始めてほしいものです。