鷭(バン)

これまたカモに似てカモにあらず、といっても泳ぐ姿の話ですが。異様に大きく発達した脚には、カモのような水掻きはありません。バンの属すツル目クイナ科といえば沖縄のヤンバルクイナ*1が注目株ですけど、彼らと違ってバンは飛べます。国内はもとより分布も広い*2けれど、都市近郊ではさすがに生息環境が狭まってきたようです。

体に不釣り合いな大きな指で器用に泳ぎます。その長い指のおかげでハスの葉の上を沈むことなく歩き回る技も持ち合わせ、黒っぽい体色と相まって水辺の忍者のようです。

訪れた池では子育ての真っ最中。実はバンのヒナ、他の水鳥のヒナと比べるといささか不細工です。せめてもう少し羽毛が濃ければヒヨコのイメージに重なるのですが、ところどころ地肌がむき出しなので随分と損しているようにも思えます。とまぁ所詮は人間基準の話なのでバンの親にとっては可愛いんでしょうね、やっぱり。
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*1:国内では最後(1981)に発見された鳥。レッドデータブックのIB。相当ヤバイ状況

*2:オーストラリア区を除く世界中の熱帯〜温帯に分布